今回は2018年のタモリ倶楽部の企画で面白かったものの紹介です。
受験業界震撼の企画「作者の気持ちを作者は解けるのか?」
武田砂鉄さんのエッセイが入試問題に採用され、その問題を武田さんと出演者が解き、、さらに入試問題の作問者が解説するというタモリ倶楽部ならではの面白企画。
これって気になる人も多いのではないかと思うので番組内容をレビューいたします。
[オープニング]
グローバー「受験の文章にご自身の文章が採用されたという武田砂鉄さんをお招きして、入試問題をみんなで解いてみて作者はどう思うのかと…」
武田砂鉄「鼻毛を生やしっぱなしにしているおじさんのエッセイを書いたんですけど、入試に使われ恐縮してるんです」
作者の気持ちを作者は解けるか!?
受験業界震撼の問題企画!
タモリ倶楽部2018年12月7日に放送された、受験業界震撼の問題企画。入試問題文の作者ならなら、試験問題は簡単に解けるものなのか?
出演
タモリ 早稲田大卒
谷まりあ 早稲田大学在学中
グローバー 東大卒
武田砂鉄 フリーライター、今回の入試問題の文章の作者。
自身の文章が入試問題に採用された武田砂鉄さんと出演者が問題に挑戦します。
武田砂鉄「当然、満点いただきます!」
そして、この入試問題を作成した京都・花園大学の今井先生も参加。
文章の作者と問題作成者の入試問題バトルが勃発!
武田砂鉄さんの鼻毛についてのエッセー
どんな内容か?
武田砂鉄「鼻毛って、いろんな別の毛があって枝毛が出ていても笑わないのに鼻毛だけなんで笑われるのかという疑問があった」
グローバー「この文章には作者の気持ちがいっぱい入っているんですね」
全員で入試問題を解き、答え合わせ
武田さんのエッセーが使われた入試問題、漢字や慣用句、作者の気持ちを問う問題など、全15問。武田さんを含めた出演者全員で取り組みます。
そこでこの問題を出題した花園大学の今井先生が登場。正解と解説を行います。
出題文の筆者と試験問題作成者、両者とも「譲るつもりはない!」と宣言。
入試問題バトルが勃発
各自真剣に解いて、早速問題の解説へ。
問.空欄【B】に当てはまる語句を選べ。
(該当箇所)『みんなでシェアする枝豆とは別に自分専用の枝豆を頼むその人は、「とにかく【B】」と、枝豆に用意する言葉としてはなかなか丁寧な言い方で枝豆好きを知らせる。』
① 枝豆が目に余るんです
② 枝豆が目に染みるんです
③ 枝豆には目がないんです
④ 枝豆には目を掛けているんです
武田砂鉄「これには正解ないと思うんです」
タモリ「酒の席では④もありそう」
全員の回答は③、この問題は全員正解。
武田砂鉄「④でも✖にはできないんじゃないかなって」
今井先生「『目を掛ける』は辞書的には『世話をする』『かわいがる』という意味。育てているならわかるけど、食べちゃうので✖です。解釈で辞書の意味から外れてしまうとどんなものでもOKになってしまいまいます。」
今井先生「入試の合否にかかってくると、どんな問題に対するクレームでも対応できるように我々鍛えられてしまう。最後は「辞書が正解」の一点張りです!」
問.「いたたまれなくなる」とあるが、筆者がこのように述べた理由を選べ。
該当部分→「生い茂る鼻の穴に枝豆が突っ込んでいく光景を想像すると、ここ数年で最大の~がやってくるのではないかと警戒、でもその時、笑い転げてもいいのだろうか、と先んじて悩む。いたたまれなくなり、勇気を振り絞り、どうして鼻毛をそのまんまにしておくんですか、と聞いた。」
選択肢→
①衝撃的な瞬間に今にも出くわしそうで、その緊張感に耐えられなくなったから。
②真相を聞かないかぎり、くだらない妄想がふくらんで止まらなくなりそうだったから。
③劇的な光景を見逃すまいと思っていたが、人の顔をじっとみるのは無礼だと気づいたから。
④人を笑いものにしたい誘惑と、相手を激怒させる心配の板挟みに我慢できなくなったから。
回答割れました。
正解は②
作者の武田さんは①で不正解
谷「(武田さんの選んだ)①の緊張感に耐えられなくて、というのは読み手の妄想なのかな…(笑)」
タモリ「いたたまれない、という言葉の意味を中心に考えると、④が適切ではないか」
今井先生「著者は人を笑いものにしたかったわけではないから、④は✖」
「(武田さんの選んだ)①は部分正解。衝撃的な瞬間に緊張感だけになっている。」
グローバー「武田さん、部分正解です(笑)」
武田砂鉄「自分の書いた文章に部分正解…(複雑な表情)」
入試問題作りのこだわり
ここで今井先生の問題作りへのこだわりを紹介。
問題作りは大変苦痛な作業なので、楽しみを見出さなければやれない。
こだわり1 選択肢の文字数が一緒
こだわり2 選択肢の文章が途中まで一緒
各選択肢の『彼の言い』までが一緒。誰にもわからないこだわりでニヤニヤしているとのこと。
で、入試問題の解説に戻ります。
問「君たちはそれぞれの鼻毛に負わせすぎなんだ」の最も適切な意味は?
該当箇所→「生やしっぱなしの彼は、君たちはそれぞれの鼻毛に背負わせすぎなんだ、という。『鼻毛は体の内部に埃が入らないようにガードする役目を持っているでしょ。でも、みんな伸びてきた鼻毛をすぐにカットしたり抜いてしまう。残された鼻毛にしてみれば、体の向きを変えてでも守らなければいけないって思うわけだよね。』」
選択肢→
①鼻毛を憎むあまり、鼻毛を伸ばしている人まで目の敵にしているということ。
②身だしなみの一環として、鼻毛に本来の役割以上の役目を与えているということ。
③エチケットを守ろうとして、鼻毛の手入れに必要以上の手間をかけているということ。
④全体の数を減らした結果、残った鼻毛一本あたりの負担量を増やしているということ。
みなさんの回答は…
なんと著者の武田さんだけ不正解。
今井「②は本来の役割(=異物の混入を防ぐ)を鼻毛を切ることによって減らしている。足してない。」
武田「いろいろ考えてみたんですけど…、、、僕が間違っていましたね」
武田砂鉄「このコラムの内容自体が、鼻毛ってちょっとバカにされるものだけど、伸ばしている人とケアしている人とのギャップを楽しんでもらうというもの。その全体のテーマには、【鼻毛に本来の役割以上の役目】っていうのは合ってるけれども、『身だしなみの一環として』鼻毛に本来の役割以上の役目と言われると、この質問に対する答えとしては(武田さんの回答は)間違っている…。」
グローバー「書き手だからかなぁ~」
タモリ「エチケットについても書いてあるんだけどねぇえ」
武田砂鉄「フォローしていただきありがとうございます(笑)」
問「動揺した」理由として最も適切なものは?
該当箇所「鼻毛に「体の向き」という形容を用いることに動揺したものの、言いたいことは分かる」
選択肢→
①自分の鼻毛の一本一本に人格を見出していたから。
②自分の鼻毛の多さを自慢に思っていることがわかったから。
③鼻毛に対して普通では思いつかない言葉づかいをしたから。
④偶然にも筆者と同様の考えをもっていることがわかったから。
武田「よく男性の下半身のことを息子といって、別人格に扱うことありますよね、それに似た感じで、鼻毛に自分の思いとは別のものが宿っていて人格といってもいいんじゃないか。」
タモリ「「体の向き」という形容を用いることに動揺したんだから…」
小林「正解は③です。」
タモリ・谷「迷ったけど③だよねぇ~」
武田さん「文章書く人間として自信がなくなってきました(笑)」
成績発表
結果発表、1位谷さん、2位グローバーさん、3位タモリさん、そして最下位は…
番組の期待通りの展開。著者である武田さんが最下位!
武田砂鉄「深刻な問題(笑)、しばらく筆を折ろうかと…(笑)」
作者の気持ちを作者はわからなかった(笑)
さいごに
タモリ倶楽部ならではの面白企画。
この番組の面白さをワタシの能力では十分伝えられなかったかも、すみません。
作者の気持ちに作者が間違えたり、作者が作問者に食い下がったりして面白かったです。国語の問題は【問題の作問者は何を正解と考えたか?】を読み解く問題なのだなぁと思いました。
作者が(実際に)どう考えていたかではなく、書かれた文章から論理的に導き出されるものが正解になる、ということを再認識させられた企画でした。
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