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【中学受験】塾別合格者数が学校発表数を上回る、合格者数の水増し疑惑問題【ダブルカウント】

塾別合格者数が学校発表数を上回る、合格者数水増し疑惑問題

 この季節になると、塾の合格者数を「どうだぁ!」と言わんばかりに目立たせた塾のチラシが入ってきます。年度末から年度初めの時期は、入塾を検討する方も多いと思います。

 塾を選ぶときには、合格実績は気になるもの。特に御三家や名門校の合格者数はチラシの一番目立つところに大きく書いてあり塾のセールスポイントになっています。

⇩こういうチラシ

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 繰り上げ合格も徐々に落ち着きはじめ、大手塾の合格者人数もおおよそ確定してきますが、この時期に必ず話題になるのが、『塾別の合格者数を足すと、学校発表の合格者数を大きく上回ってしまうけど、なんか実績のない合格や不正をしているんではなかろうか?』という話題。

 今日はこの塾別合格者数合計が学校発表よりも上回る問題について説明します。

いったい何が問題なのか?

2月の合格発表以降、塾別の合格者を日々更新しています。

例えば、男女御三家や筑駒で、大手塾のサピックス、早稲アカ、日能研、四谷大塚の合格者人数を合計すると、学校発表の合格者人数を上回っています。実際には塾は栄光、市進などの中堅塾や小規模な塾、個別塾、他にもあるし、少ないですが、塾なしで合格する人もいます。具体的な数字で確認してみます。

筑波大付属駒場

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学校発表の合格者数:131人

塾別合格者数の合計:159人(サピ86+早稲アカ42+日能研9+四谷大塚22)

開成

学校発表の合格者数:398人

塾別合格者数の合計:532人(サピ269+早稲アカ127+日能研30+四谷大塚106)

麻布

学校発表の合格者数:377人

塾別合格者数の合計:386人(サピ207+早稲アカ73+日能研53+四谷大塚53)

武蔵

学校発表の合格者数:183人

塾別合格者数の合計:207人(サピ61+早稲アカ69+日能研27+四谷大塚50)

桜蔭

学校発表の合格者数:283人

塾別合格者数の合計:313人(サピ160+早稲アカ68+日能研24+四谷大塚61) 

女子学院

学校発表の合格者数:274人

塾別合格者数の合計:313人(サピ145+早稲アカ70+日能研40+四谷大塚58)

雙葉

学校発表の合格者数:115人

塾別合格者数の合計:147人(サピ54+早稲アカ41+日能研19+四谷大塚33)

各塾の合格者カウントルール

各塾にはWEBでどのように合格者をカウントするかのルールを明記しているところもあります。以下に抜粋します。

サピックス

第32期 在籍者数 6179名 (2021年2月19日現在)
※ サピックス小学部では、内部生手続きを行い、継続的かつ2021年1月まで在籍した生徒のみを合格実績として掲載しております。
テスト生や各種講習生などは、実績に含んでおりません

→継続的、という言葉が気になりますが、入塾手続きを取った人だけですね。

早稲アカ

早稲田アカデミーグループ
(早稲田アカデミー・国研・SPICA・早稲田アカデミー個別進学館・水戸アカデミー・QUARD・早稲田アカデミー海外校)

→グループ全体ですね。個別進学館が入ってますね。

日能研

なし。 

→なしとは、どういう基準でカウントしているのでしょうか。盛るチャンスがあれば盛るということか。 

四谷大塚 

合格者数は、四谷大塚ネットワーク(四谷大塚・四谷大塚YTネット、四谷大塚NET)を継続的に在籍し、四谷大塚が開発した教材および教育サービスで学習した生徒を対象として集計しております。なお、講習生や公開テスト生などは、一切含んでおりません。

→準拠塾(予習シリーズやYTネットを使う塾)は実績を四谷大塚にカウントするとのこと。これは気をつけたいところです。

なぜ各塾合格者の合計が大きくなるのか?

学校発表人数には繰り上げ合格人数が入っていない

上の上げた学校は合格発表をした後、辞退者が発生し手続きを行う人が定員を下回るので繰上合格を行い2月17日前後に固まるようです。例えば開成の場合は2021年繰上合格は約30人発生しています。

ダブルカウントさせている人がいる

複数の塾でカウントされている人が少なからずいます。その理由を上げます。

メイン塾とは別に週末に早稲アカの学校別対策講座(NN)を受講する

たとえば、サピックスの生徒が開成対策で早稲アカのNNを受講し合格するとその合格実績はサピックスと早稲アカの両方でカウントされます。

学校別対策講座が役に立ち、その学校に合格できたというケースは多いのでメイン塾とは別に学校別対策講座を行った塾にカウントされるのは問題ないと思います。

上の例でサピックスからNN開成を受講した人が、開成だけでなく、筑駒、聖光も受験して全て合格したとすると、3校すべての合格実績が、サピックスと早稲アカの両方にカウントされます。

このように学校別対策講座の冠学校以外も実績は全てダブルカウントされますので、これは少し違和感があるがいるかもしれません。

学校別対策講座は、サピックスのSS、四谷大塚の学校別など各塾にありますので
いろんな組み合わせがあります。有名なのは各塾から早稲アカのNNを受けるというものですが、学校別対策講座が開催される学校は塾ごとに違うので、日能研から四谷の学校別講座を受けに行くケースも考えられます。例えば豊島岡の学校別対策コースは四谷にはありますが早稲アカにはありません。

メイン塾とは別に個別塾、単科塾に通いダブルスクールになる

上と似ていますが、たとえば日能研生が早稲アカの個別塾、早稲田アカデミー個別進学館に通うと日能研と早稲アカのダブルカウントになります。
 早稲アカの個別塾は早稲アカにカウントされることが明言されていますが、サピックスの個別「プリバート」や日能研の個別塾「ユリウス」がカウントそれぞれの塾にカウントされるか明言されてはいません。

サピックスの個別「プリバート」は単独では受講できず、サピックスの小学生部に入塾しないと受講できない、プリバートだけの合格実績は出していない。

日能研の「ユリウス」は単独で受講可能で、ユリウスだけの合格実績をだしている。

以上のことから、「プリバート」はサピックスの小学生部に含まれるため、ダブルカウントされない。「ユリウス」は個別単独塾とみなされ、ダブルカウントされる、と予想しています。

四谷は準拠塾の合格者数を含む

四谷大塚のルールだと準拠塾の実績をカウントすることができるので、予習シリーズを使っている早稲アカでの合格実績をダブルカウントすることができます。全数カウントしているのかは不明ですが、四谷実績の一定数は早稲アカや他準拠塾によるものです。

四谷大塚の看板をあげている校舎や生徒数はサピ、早稲アカ、日能研よりかなり少なく、半分以下だと思いますが、準拠塾の実績をカウントできることによって、他大手塾と遜色ない合格数になっているようです。
 ちなみに、福岡でダントツの実績を誇る英進館は四谷の準拠塾なので、九州内の四谷直営の校舎ないないのもかかわらず実績は大変なことになっています。

例.ラ・サール118人。2021年中学入試合格実績 四谷大塚

 

その他のダブルカウントの例

グレーなものも含めてダブルカウントする、されるケースはあります。
・受験少し前に転塾したことによる、転塾前、後のダブルカウント
・早稲アカよりNNテキストを送付してもらったことによる。自塾と早稲アカのダブルカウント。
・(最近はほとんどないですが)合格発表後、講習会やテストを受けたことがある塾から合否調査の封書がきて、返信すると実績にカウントされていたというケースも。

塾別合格者の水増し疑惑についてのまとめ

各塾ともルールにのっとってやっているのだと思いますが、いろいろわかりにくかったり違和感があったりします。

 たとえば他塾からNNに参加した合格者の分は早稲アカにカウントしないというのも変なような気がします。

考えらえる改善策としては、
・所属塾生の属性ごとに合格者数を出す(本科生、NN生)
・四谷大塚は直営校のみと準拠塾の実績を分けて表示。
ようにすればより実像に近いデータになるような気がします。

そうするとサピックスと早稲アカ・四谷大塚の差はもっと開くと思いますが。

あと気をつけたいのが、塾全体の合格者数よりも、入塾校舎のリアル実績を確認することが大事だと思います。塾に問い合わせると正直に教えてくれますよ。では。

 

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