この季節になると、塾の合格者数をババーン!とのせたチラシが新聞に入ってきます。
年度末から年度初めとなり、入塾を検討する方も多いでしょう。
塾を選ぶときには、合格実績は気になるもの。特に御三家や名門校の合格者人数は
どのチラシでも一番上に大きく書いてあって塾のセールスポイントになっています。
繰り上げ合格も落ち着き、大手塾の合格者人数もおおよそ確定してきますが、この時期に必ず話題になるのが、『塾別の合格者数を足すと、学校発表の合格者数を大きく上回ってしまうけど、なんか実績のない合格や不正をしているんではなかろうか?』という話題。
今日はこの塾別合格者数合計が学校発表よりも上回る問題について説明します。
(0)なにがおかしいのか
塾別の合格者はこちらにありますが。
例えば、男女御三家+筑駒で、サピックス、早稲アカ、日能研、四谷大塚の合格者人数を合計すると、学校発表の合格者人数を上回っています。実際には塾は栄光、市進などの中堅塾や小規模な塾、個別塾、他にもあるし、少ないですが、塾なしで合格する人もいます。では具体的な数字を見てみます。
・筑駒
学校発表の合格者人数:130人
大手塾の合格者数合計:166人=サピックス91人+早稲アカ39人+日能研12人+四谷大塚24
・開成
学校発表の合格者人数:397人
大手塾の合格者数合計:539人=サピックス286人+早稲アカ111人+日能研38人+四谷大塚104人
・麻布
学校発表の合格者人数:383人
大手塾の合格者数合計:389人=サピックス185人+早稲アカ67人+日能研65人+四谷大塚72
・武蔵
学校発表の合格者人数:188人
大手塾の合格者数合計:216人=サピックス52人+早稲アカ74人+日能研30人+四谷大塚60
・桜蔭
学校発表の合格者人数:283人
大手塾の合格者数合計:334人=サピックス172人+早稲アカ69人+日能研29人+四谷大塚64
・女子学院
学校発表の合格者人数:274人
大手塾の合格者数合計:310人=サピックス148人+早稲アカ60人+日能研50人+四谷大塚52
・雙葉
学校発表の合格者人数:118人
大手塾の合格者数合計:134人=サピックス61人+早稲アカ31人+日能研16人+四谷大塚26
(1)各塾の合格者カウントルール
各塾にはWEBでどのように合格者をカウントするかのルールを明記しているところもあります。以下に抜粋します。
・サピックス
第31期 在籍者数 6013名 (2020年2月22日現在)
※ サピックス小学部では、内部生手続きを行い、継続的かつ2020年1月まで在籍した生徒のみを合格実績として掲載しております。
テスト生や各種講習生などは、実績に含んでおりません。
→継続的、という言葉が気になりますが、入塾手続きを取った人だけですね。
・早稲アカ
早稲田アカデミーグループ
(早稲田アカデミー・国研・SPICA・早稲田アカデミー個別進学館・水戸アカデミー・QUARD・早稲田アカデミー海外校)
→グループ全体ですね。個別進学館が入ってますね。
・日能研
なし。
→なしとは、どういう基準でカウントしているのでしょうか。盛るチャンスがあれば盛るということか。
・四谷大塚
合格者数は、四谷大塚ネットワーク(四谷大塚・四谷大塚YTネット、四谷大塚NET)を継続的に在籍し、四谷大塚が開発した教材および教育サービスで学習した生徒を対象として集計しております。なお、講習生や公開テスト生などは、一切含んでおりません。
→準拠塾すべての実績を四谷大塚にカウントするそうです。これは実績を見るときには気を付けたいところですね。四谷本体より準拠塾のほうが合格実績が良さそうですね。
(2)なぜ各塾合格者の合計が大きくなるのか?
・学校発表人数には繰り上げ合格人数が入っていない。
実際には、筑駒への進学や関西からの受験もあるので辞退者が結構います。それを埋めるための繰り上げ合格が発表後から繰り上げ合格は行われ、2月17日ぐらいにはおよそう固まるようです。繰り上げ合格は開成の場合で、各塾合計100人程度いるようです。
・ダブルカウントされている人がいる
複数の塾でカウントされている人が少なからずいます。
その理由をあげます。
(1)メイン塾とは別に早稲アカの学校別対策講座(NN等)を受講する。
たとえば、サピックスの生徒が開成対策で早稲アカのNNを受講し合格するとその合格実績はサピックスと早稲アカの両方でカウントされます。
学校別対策講座が役に立ったという声は大きいのでこれ自体が問題だとは思いません。
この人が開成だけでなく、筑駒、聖光も受験して合格したとすると、3校すべての合格実績が、サピックスと早稲アカの両方にカウントされます。
このように学校別対策講座の冠学校以外も実績は全てダブルカウントされますので、これは違和感があるがいるかもしれません。
学校別対策講座は、サピックスのSS、四谷大塚の学校別など各塾にありますので
いろんな組み合わせがあります。有名なのは各塾から早稲アカのNNを受けるというものですが、学校別対策講座が開催される学校は塾ごとに違うので、サピックスのSSや四谷の学校別講座を他塾から受けに行くというケースも一部ですがあります。
(2)メイン塾とは別に個別塾、単科塾に通いダブルスクールになる
(1)と似ていますが、たとえば日能研生が早稲アカの個別塾、早稲田アカデミー個別進学館に通うと日能研と早稲アカのダブルカウントになります。
早稲アカの個別塾は早稲アカにカウントされることが明言されていますが、サピックスの個別「プリバート」や日能研の個別塾「ユリウス」がカウントそれぞれの塾にカウントされるかはよくわかりません。
(3)四谷大塚の準拠塾扱い
四谷大塚のルールだと準拠塾の実績をカウントすることができるので、予習シリーズを使っている早稲アカでの合格実績をダブルカウントすることができます。全数カウントしているのかは不明ですが、四谷実績の一定数は早稲アカや他準拠塾によるものです。
四谷大塚の看板をあげている校舎や生徒数はサピ、早稲アカ、日能研よりかなり少なく、半分以下だと思いますが、準拠塾の実績をカウントできることによって、他大手塾と遜色ない合格数になっているようです。
ちなみに、福岡でダントツの実績を誇る英進館は四谷の準拠塾なので、九州内の四谷直営の校舎ないないのもかかわらず実績は大変なことになっています。
(4)その他
グレーなものも含めてダブルカウントする、されるケースはあります。
-受験少し前に転塾したことによる、転塾前、後のダブルカウント
-早稲アカよりNNテキストを送付してもらったことによる。自塾と早稲アカのダブルカウント。
-(最近はあまりないですが)合格発表後、講習会やテストを受けたことがある塾から合否調査の封書がきて、返信すると実績にカウントされていたというケースもある。
(3)塾別合格者の水増し疑惑についてのまとめ
一つ一つは問題がないし、ルールにのっとってやっているのだと思いますが、いろいろわかりにくかったり違和感があったりします。
たとえばNN合格者だけの分は早稲アカに入れないというのもヘンですし、NNの併願校以外は合格実績にカウントしないとかも違うかなと思います。
考えらえる改善策としては、
・所属塾生の属性ごとに合格者数を出す(本科生、NN生)
・四谷大塚は直営校のみと準拠塾の実績を分けて表示。
ようにすればより実像に近いデータになるような気がします。
そうするとサピックスと早稲アカ・四谷大塚の差はもっと開くと思いますが。
あときをつけたいのが、塾全体の合格者数よりも、入塾校舎のリアル実績を確認することが大事だと思います。塾に問い合わせると正直に教えてくれますよ。では。
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