中学受験ブログを続けていると毎年のように「共学化」や「校名変更」といったニュースが飛び込んできます。今回は受験生、在校生、学校にとっても大きな学校改革の一つとなる別学校の「共学化」について考えます。
私立中学の共学化について調べてみた
毎年どこかが共学化している
来年2022年は星美学園がサレジアン国際学園と校名変更し、共学化。2023年には、目黒星美がサレジアン国際学園世田谷と校名変更し、共学化することになっています。
今年2021年は芝浦工業大学附属が共学化し、同じく2021年、聖徳大学附属女子が光英 VERITASに校名変更し、共学化しました。
だいたい毎年1~数校が共学化している感じです。また元々女子高校で中学がない状態で、共学化した上で中学募集を始める学校も出てきています。例えば2021年広尾学園小石川(旧村田女子)や2022年千代田国際(旧千代田女学園)などです。
千葉にある聖徳大学付属女子中学校は
— 中学受験の下書き (@jukenshitagaki) 2020年1月20日
2021年共学化するにあたり、学校名を
「光英 VERITAS (コウエイ ヴェリタス) 中学校」
に変更になります。
サッカーやバスケのチーム名みたいと思ったけど、
サイフロとかも慣れるからいつか慣れるのでは?と思います。
男子校から共学化、女子校から共学化
このページの下のほうに最近20年の「共学化した学校リスト」があります。
元が男子校からが10校。女子校からが21校。別学校からが3校。(ちなみに別学校は、共学ではなく男子部、女子部など男女が内部的に分かれている学校のこと)
全体的に男子校からに比べて女子校からの共学化が多いですが、元々女子校の数が男子校より多く、定員割れしている学校も女子校の方が多いです。
女子校からの共学化の特徴
女子校から共学化するケースは古くは広尾学園(順心女子)、三田国際(戸板女子)など生徒集めに苦慮していた学校経営の立て直し目的での共学化が多い特徴があります。
共学化に踏み切る学校の特徴は大幅な定員割れ、目指す教育が浸透していない、学校の立地が不利などが挙げられます。
共学化する場合は、伴い以下のような方針を立てる学校が多いようです。
・イメージの良い地名を押し出した学校名に変更
・複数回入試で多くの受験生を確保する
・英語のカリキュラムの充実など国際性を養うコース、帰国子女を多く受け入れる入試
一方、千代田区など都心にある伝統校は立地が良く、固定ファンがいるため女子校でも定員割れとはなりにくい傾向があります。
【中学受験・深掘り】「千代田区近辺に女子校が集まりすぎ」と「本郷中は本郷にない」問題 - 中学受験の下書き
都内私立中学
— 中学受験の下書き (@jukenshitagaki) 2020年3月7日
千代田区近辺に女子校があつまりすぎている件
暁星に入ったら女子校だらけでモテるのでは説 pic.twitter.com/FlCMPZdZ5o
三田国際(女子校→共学校)の共学化の理由
http://www.mita-is.ed.jp/news/detail.html?id=24
現代においては、グローバル社会の多様性の中で羽ばたき、ジェンダーフリーの社会の中で活躍できる人材を育てるということが、建学の精神に鑑みて最も意に適うところであると考えるに至りました。
星美学園(女子校→共学校)の共学化の理由
創立以来、女子教育を柱とした人間教育に力を注いでまいりました。しかしながら、今日の社会の状況は、本校創立時から大きく変化し、個性の尊重とともに、男女協働の取り組みなど、誰もが自由で対等に活躍できる社会の創出が求められています。
(中略)
本校では、この大きな転換期を見据え、より多様性に富んだ学習環境の中で一人ひとりの個性を磨き上げるため、学校改革を進めて参りたいと思います。
品川翔英(女子校→共学校)の共学化の理由
近年のグローバル化の進行とともに社会が急速に変化し、男女の地位や役割が大きく変貌していることから、学園が教育機関として一層の社会的役割を担うとともに、来るべき時代の要請に応えうる有為な人材を世の中に送り出し続けるため、2020年度より中学校、高等学校を共学化。
聖ヨゼフ(女子校→共学校)の共学化の理由
https://www.syutoken-mosi.co.jp/blog/entry/entry001208.php
中学・高等学校は、創立以来、女子教育を柱とした人間教育に力を注いでまいりましたが、今日の社会状況は学園創立時からみますと大きく変化し、個性の尊重とともに、男女協働の取り組みなど、誰もが自由で対等に活躍できる社会の創出が求められています。
さすがに学校経営の難しさを全面に押し出した学校はないですが、いずれも大幅な定員割れ状態だったため共学化は生き残りには必須だったのだと思います。
例えば品川翔英に校名変更する前の「小野学園女子中」は2019年のデータで1年生9人、2年生9人、3年生19人というデータが残っています。
品川翔英中学校(東京都品川区) - 学年別の児童生徒数・学級数 | ガッコム
男子校からの共学化の特徴
男子校からの共学化は有名大学附属の伝統校が比較的多いという特徴があります。2000年代初頭以降、早稲田実業、明大明治、法政、法政第二また2021年より共学化された芝浦工業大学附もそうです。
名門校であり人気もあるため、女子校⇒共学化する学校ほど学校経営が危機に陥っているわけではないものの、定員の一部を女子に割り当てて男子・女子の学力的な質を維持する「将来的なことを考えての共学化」という理由が大きそうです。
男子校⇒共学校の特徴
・有名大学付属校、伝統校が多い。
・早稲田実業、明大明治明など郊外に校舎がうつるタイミングでの共学化のケースも。
・元々伝統校が多く、校名は変えないケースが多い。
(女子校の場合は学校名に「女子」が入っており共学化で校名を変えざるを得ない)
男子校からの共学化に限った話ではないですが、伝統校だとOBの共学化への反対圧力なども一部あると聞いています。
ここ20年で共学化された学校一覧
さいごに
2021年の入試で、共学校の人気は相変わらず高かったですが、上位校を中心に別学の人気復活ともいわれ、共学人気は高止まりという感じがします。
今後も女子校から共学化はまだ続きそうに思います。というのも定員割れしている女子校は多く、経営的な立て直しのための共学化を考えている学校は多いと思います。実際に共学化した学校の大半は多くの受験生が集まっており経営的なメリットもあります。
一方、男子校からの共学化ですが、2016年以降で1校だけと数は多くありません。まず男子校の数がかなり少なくなってきていること、女子校ほど定員割れを起しておらず経営的な苦しさが女子校ほどではないことが理由だと思われます。
男子校のアドバンテージである進学実績が揺らいでくるようだと共学化が進むのかもしれません。
今回はここまでとなります。
・中学受験リンク
「千代田区近辺に女子校が集まりすぎ」と「本郷中は本郷にない」問題
共学化が進んでいるが、高偏差値帯では男子校・女子校の存在感が大きい件