模試の季節です。合不合判定テストやサピックスオープンなどの総合模試や学校別模試など多数の模試がおこなれます。模試の結果で気になるのは合格可能性。
おおよそ20%以下から80%までで表されます。
「学校の偏差値」というと80%の偏差値をさすことが多いようです。
それもあってか多くの保護者が80%の偏差値を意識することになります。
「80%取れなかったのでダメだ」と悲観する人もいますが、それはどうなんでしょうかねぇ。
で、今回は中学受験でよく言われる説の検証
「入学してみると模試で合格可能性80%だった人あまりいない説」の検証です。
その学校に入学してみるとわかるが
— 中学受験の下書き (@jukenshitagaki) 2019年10月25日
模試で合格可能性が80%だった人は実はあまりいないのだ。30%だったり、60%だったりとか
カラクリは簡単で
・合格可能性80%が出る人数自体が少ないこと
・合格可能性80%を出す人は上位の学校にも合格している
ゆえに結果として入学してこないのだ
中学受験ではよく言われており、データもよくみたことがあります。
下のは早稲アカの合不合の資料、学校名や年度は書いてませんが、四谷偏差値80%の偏差値65の学校のようです。
どうやら、合格進学者、合格非進学者(これは辞退者のことですね)、不合格者の人数グラフのようです。これを見ると合格可能性80%超の上位層に辞退者が多いようにみえます。
わかりやすいように表にします。写真だと合格可能性、80%、50%、20%の偏差値が65、59、55のようです。合格可能性が10%きざみになるように区切ります。
合格可能性が高いほど辞退率も高い
合格可能性90%以上だと67%の辞退率。
合格可能性80%以上だと40%の辞退率。
合格可能性60%~79%だと16%の辞退率
合格可能性 ~59%だと10%の辞退率
・合格可能性80%の人は辞退率が高いので、入学する割合を考えると、合格可能性50~79%の人のほうが80%の人よりより高くなります。
これはある学校Zを受験するA君(合格可能性80%)とB君(合格可能性60%)の二人がいて受験するとします。受験が終了し、学校Zの入学式にいる可能性はB君のほうが高くなるということです。(受験に合格する可能性はA君のほうが高い)
・入学者のうち模試成績合格可能性80%だった人の割合は24%、いないというほどに少ないわけではないが、4人に1人程度。
・逆にいえば合格可能性80%を取らずに入学する人が4人に3人以上いると考えると、80%にこだわりすぎる必要はないかと思われます。
学校によって違うのでは?
ここで思うのが辞退する人の割合はは学校によっても違うだろうということです。
上の学校では全合格者166人中46人、つまり辞退率は27%です。
2021年の各学校の辞退率を調べたところ
開成 398人合格、304人入学 94人辞退⇒辞退率24%
麻布 定員300人に対して、377人合格⇒辞退率20%
開成については併願校の筑駒に合格した場合筑駒に進学する人が多いのだろうと推測されます。
辞退率は第一希望の人の割合によっても辞退率は異なってきそうなのでそれは考える必要があるかと思います。
ただ第一希望割合が比較的多いであろう開成や麻布でも20%の辞退率と考えると、ある程度広い範囲の学校で今回のことはいえそうに思います。
まとめ
① 入学する割合まで考えるなら、『合格可能性50%-79%』の人のほうが『合格可能性80%』の人よりも高い。
② 入学者に対する模試成績合格可能性80%以上の人の割合は24%、いないという程少なくはなく、4人に1人ぐらいはいそうです。
③ 逆にいうと合格可能性80%取らずに入学する人が4人に3人いるということです。80%でないから悲観するのはよくないと思います。80%にこだわりすぎる必要はない。
受験とくに中学受験はポジティブなほうが有利です。精神的に一番苦しい時期に入りますが、少なくとも話す言葉はポジティブを心がけましょう。