ある中学の入試問題で面白い問題がいくつか見つかりました。尖った問題を出していこうみたいな学校方針があるのでしょうか?あ、学校は『森村学園中等部』です。横浜の学校ですよね。
森村学園中等部 2020年社会
3つの政策があります。
(A)年金生活者に年金を月5000円増額、かつ消費税を減税
(B)児童手当を増額、公立小学校の給食を無償化
(C)18歳、19歳に対して商品券を支給
どの政策を主張すれば、選挙に当選しやすくなるか?という問題。
年齢別の人口構成図と選挙率のデータがあるのでそれを踏まえての回答します。
高齢者無視の政策では当選できない
この問題が面白いなと思う理由としては、
・入試問題なのに、票をとるための選挙公約という若干ダークな部分に踏み込んでいる。
・日本は高齢者が多く、その高齢者の選挙率が高いので、(国全体のためでなくても)高齢者にとってよい公約を出すことで当選しやすくなるという選挙の問題点も示唆している。
答えは難しくはないが、しかし…
解答自体は難しくはないと思います。
答えは「A:高齢者は人数が多く、投票率も高いから。」これで決まりです。
ただこれだけではないです。
森村学園中等部は入試問題と解答を学校HPに載せていますが、
学校側の解答はA,B,Cそれぞれに「選挙で当選しやすくなる理由」を用意しています。
なかなかやりますね。
https://www.morimura.ac.jp/jsh/_pdf/admission/exam2020/exam2020_s01_03.pdf
A→「高齢者は人数が多く、投票率も高いから。」
B→「A や C は限られた年代が対象だが、B は子育て世代として色々な世代の人が子育てをしているから。」
C→「10 代で投票する人が少ないので、これを支給したら投票する人が増えると思うから。」
BとCで本当に当選できるかは別にして答えとして面白いです。一応論理的ではあります。何よりこれを解答として学校HPに載せているところが素晴らしい。
なお、森村学園中等部にはもう一問面白い問題があります。
森村学園中等部 2020年算数
(3)で書かれているとおり、これは株や商品先物などで用いられる「空売り」を指します。手元にないモノを売って後で買い戻す形式をとり、その差額が利益(または損失) となるもので、そういう意味ではこの問題は算数だけでなく社会の側面もあります。
「空売り」はリスク取引
空売りは信用売りとも呼ばれ、手元に商品が無くても売ることができる、というものですが、逆に手元に現金がなくても買うことができる空買い(信用買い)というのもあります。現金や商品がなくても売り買いができることは便利ですが想定以上の損出がでることもありリスクが高い取り引きとされています。その取引を問題にしているというのが面白いです。
「シカクいアタマをマルくする」にも掲載
2020年09月 森村学園中等部【算数】 | 日能研 シカクいアタマをマルくする。
日能研がこの問題を選んだ理由がなかなか説得力がある。
・経済用語の空売り、大人でも「それは何?」となりそう。
・手元に商品がなくてもものが売り買いできるというまるで手品。
・空売りを知らなくても、問題に取り組むことで少しずつわかる問題のつくり。
・算数を学ぶことから経済の仕組みに繋がる、算数が世の中でどう役立つのかを感じさせる。
一応、問題の答えを…
問題の答えは以下から確認できます。
https://www.morimura.ac.jp/jsh/_pdf/admission/exam2020/exam2020_m01_03.pdf
(1)30円 2/1 40円→ 2/2 30円
(2)125円の儲け。(1)より1個当たり、40-30=10円の儲け、ただ1個5円の借り賃があるので1個あたりの儲けは5円。25x5円=125円
(3)25円以下。2/2は1個30円、1個で5円の借り賃があるので25円まで下がって初めてプラスマイナス0、損しないためには25円以下になること。
面白い問題…
今日は面白い入試問題を2題紹介しましたが、森村学園にはまだ面白い問題がありますので、また別の機会で紹介したいと思います。選挙だったり、経済だったり、単に問題を解くというだけでなく、それが生活にどうつながるのか?や算数を学ぶ目的はなんだろう?というより大きなテーマにつながっていくのが面白いなと思います。