志望校選びでまず進学校か付属校かを選ぶことが多いですが、そのときに以下のことが言われることがあります。
「付属校はもったいない、同じレベルの進学校に行けばもっといい大学に行けるはずだ」
これは本当にそうなんでしょうか?検証します。
鷗友学園の進学先を元に考える
これを人気の女子校 鷗友学園で確認します。理由としては
・四谷偏差値60前後とMARCH付属のレベルに近い
・女子校の中でも浪人の割合が少なく、進学校vs付属校の比較に適している
・鷗友学園は現役の合格実績だけでなく実際の進学先も公開している
早稲田・慶応の付属校の偏差値
最初に早慶付属校の偏差値を調べます。(以後偏差値は四谷大塚80%偏差値)
慶應中等部 70
早稲田実業 68
かなりの難関、高偏差値帯です。このレベルの進学校となると、
御三家、豊島岡、渋渋などトップクラスの学校です。
MARCH付属校と同レベルの進学校
次にMARCH付属校の偏差値を調べます。左から第1回/第2回の入試における偏差値。カッコ内は入試実施日です。
MARCH付属校と偏差値 [第1回偏差値(入試日)/第2回偏差値(入試日)]
明大明治 64(2/2)/64(2/3)
青山学院 65(2/3)
立教女 61(2/1)
中大附属 58(2/1)/59(2/4)
法政大学 57(2/1)/58(2/3)
これらの付属校の難易度順は、およそ内部進学できる大学の難易度順・人気順と言えそうです。学部にもよりますがMARCH内大学の難易度は明治、立教、青学が上位3校です。
女子の進学校 [第1回偏差値(入試日)/第2回偏差値(入試日)]
洗足学園 65(2/1)/65(2/2)
頌栄女子 61(2/1)/61(2/5)
吉祥女子 61(2/1)/64(2/2)
鷗友女子 59(2/1)/64(2/3)
鷗友学園は偏差値としては
2/1は59で立教女学院と中大附の間
2/3は64で青山学院、明大明治とだいたい同じ。
と付属校との比較によさそうです。
鷗友学園の進学先で言われること
鷗友学園だけでなく同じ偏差値帯の頌栄、吉祥女子、洗足学園などの進学先でよく言われていることが以下になります。
①(合格実績ではく)実際の進学先のボリュームゾーン(最も人数が多いところ)は早慶
②難関と言われる「国公立」「私立医学部」「早慶」で、だいたい学年の半分ぐらいの人数。
→つまり、半分以上の成績を確保してれば早慶に入れる可能性がある。
③上智、理科大、ICUまで入れると半分超える。
④MARCHまで入れると7~8割
鷗友の浪人率は?
ちなみに鷗友学園の浪人率は15%~20%で同レベルの女子校とほぼ同じです。他校同様、医学系狙いは浪人率が高いですが、それ以外の文系・理系だと浪人率はか10%かそれ以下のようです。なお桜蔭や豊島岡の浪人率は30%ぐらいと若干高めです。浪人率は学校のカラーが出ますね。
鷗友学園の実際の進学先データ
鷗友学園の学校WEBには大学合格数と実際に進学した数(現役のみ)が分けて書いてあります。ここでは合格数ではなく、実際の進学先に注目します。
https://www.ohyu.jp/career/results_02.php
2020年3月鷗友学園の進学実績
卒業生 242人 進学先決定者 208人(現役進学率86%) 浪人 34人(浪人率14%)
以下は合格者数ではなく、実際に進学した人数です。
①東京一工:21名 [東大7・京大3・東工大5・一橋6]
②国立医学部:8名
③旧帝大[医学部除く]:3名
④早稲田・慶応:43名[早稲田24、慶應19]
⑤私立医学部:6名
⑥難関国立[医学部除く](お茶の水・東京外国・横浜国・筑波・千葉):21名
⑦上智・理科大・ICU:18名[上智5、東京理科8、ICU5]
⑧他国立大:14名
⑨MARCH:34名[明治 13 青学7 中央2 法政5 立教7]
⑩私立薬学歯学:7名
⑪他・外国:33名
鷗友内で上位何%でどの大学?
上の進学先からざっくり上から何%ならどの大学かを考えます。
東京一工+国医 :14%
東京一工+国医+私医+旧帝大:18%
東京一工+国医+私医+旧帝大+難関国立 :28%
早慶 :21%
早慶上理ICU :29%
東京一工+国医+私医+旧帝大+難関国立+早慶:49%
→学年で真ん中当たりをキープすれば早慶以上は狙える
東京一工+国医+私医+旧帝大+難関国立+早慶+上智理科ICU :57%
→上智理科大ICUまで入れると6割近く
東京一工+国医+私医+旧帝大+難関国立+早慶+上智理科ICU+他国立:64%
東京一工+国医+私医+旧帝大+難関国立+早慶+上智理科ICU+他国立+MARCH:80%
→MARCH以上が8割。つまり学年の下から2割に入らなければMARCH以上。
東京一工+国医+私医+旧帝大+難関国立+早慶+上智理科ICU+他国立+MARCH+私薬歯学:83%
→国立大学+MARCH以上+私立医薬歯部で8割を超える
実際に言われていることはだいたい合っているといえそうな感じです。
付属校 vs 進学校の比較
中学受験難易度ベースだと鷗友の難易度は2月1日入試だと立教・中央の付属、2月3日入試だと明治・青学の付属と同じぐらいとなる。一方、鷗友学園に進学すると6年後の大学受験で半分が早慶以上、8割がMARCH以上となるので統計的には付属校より進学校の方が進学先は上になる。→世間で言われていることは正しいと言えそうです。
注意することとか
・卒業者数ベースでの統計的な結果であり、個人個人を見ると、もちろん鷗友学園に進学してもMARCH以下の進学先になる場合も一定数(約15%程度)いる。
・現役で進学した人ベースで割合を計算している。現役+浪人でも医学系以外は大きな変化はないと思います。つまり半分が早慶以上でもそのうち一部はは浪人した結果の進学先ということになります。
・大学合格実績を見ると現役生と浪人生の数が書いてありますが、実績の大半が現役によるものですが、医学薬学系は浪人生の割合が高いようです。
https://www.ohyu.jp/career/results.php
・今回付属校として選んだ学校は①女子が受験できる②大学付属でも中心的な学校(明大明治、青山学院、中央附属、立教女学院、法政大学)を選んでます。他の付属校、系属校だと偏差値が低いところもあります。
例えば、明治なら明大中野八王子(共学)なら偏差値54、青山学院横浜英和なら偏差値55です。 立教に大きな推薦枠がある香蘭も50台の偏差値です。
まとめ
鷗友学園の進学先データと同レベルの付属校を比較すると、付属校に入るのはもったいない説は統計的には合っているといえそうです。しかし、そこは本人と家庭ごとの判断といえそうです。先の可能性や現状、メリット・デメリットを考えて、進路を選んでいく方が良いと思います。