中学受験の下書き

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【中学受験】入試問題は学校からのメッセージ【5028/5207を約分せよ】

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何回か取り上げてる分数の約分の問題。これは中学入試でも高校入試でも出るんですよね。算数の問題をブログの記事にするのはイマイチ盛り上がらないのですが、これは比較的簡単なのでやってきましょう。

5207分の5080を約分せよ

冒頭の5080/5207 を約分せよという問題。

2019年早稲田中1回の最初の大問[1]の最初の問題、

つまり受験生が最初に目にする「しょっぱな」の問題です。

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この問題難易度としては早稲田中を受験する生徒にとって難問という程ではありませんし、この問題が解けないとしても即不合格になるほどの配点があるわけではありません。ただこの問題、ハマりやすい側面があります。

一見すると、単なる約分で簡単そうですが、2,3,5とかだけでなく7や11でも約分できなさそう、はてどうするかというところから始まります。

①オーソドックスな回答

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約分できるということは同じ数で割れるということです。その数を〇とすると、

5080は〇x△であらわされる(〇の倍数)、同様に

5207は〇x▲であらわされる(〇の倍数)

線分図に書くとこんな感じ、つまり5207と5080の差も〇の倍数となります。

5207と5080の差は127なので、この2つの数は両方127で割れるということです。

で127で割ると、40/41と答えが出ます。ポイントは2つの数は「2つの数の差の約数」で割れるということです。

②それ以外の解き方

①の解き方を知らなくてもとりあえず5080を素因数分解しとこうという人もゴールにたどり着けます。(5207は一見すると素数っぽく約数を探しにくい)

5080は2x2x2x5x127です。ほう127で割れるんだ、これは収穫(笑)」

試しに5207を127で割ってみると、5207÷127=41です、やった!

つまり両方127で割れますのでめでたしめでたし。答えは40/41です。

③この問題はNGな解き方がある

この問題を見たときに、小さい素数から順に割り算して約数を探しに行った人も一定数いたはずです。

具体的には、5207を

2,3,5、7、11、13、17、19…と割れる数がないか約数を探しに行く方法です。

これでも解けますが、この方法を取った受験生は

「その瞬間、合格は一気に遠のいた」といえます。

というのも、5207が割れる素数41は小さいものから13番目なので総当たりでたどり着くまでにかなり時間を消費してしまいます。

それまでに計算間違いをする可能性もありますし。

なにせこの問題は最初の問題です。

この最初の問題で総当たりを行い、5分とか10分とか時間を使うと仮に解けたにしても、精神的にもかなり追い込まれます。

一見すぐに解けそうに見える点もハマりやすい問題といえます。

ちなみに一旦この問題を飛ばして、

他の問題を一通り解いて最後にこの問題に戻り、

最後に総当たりするというのは、まだアリな戦法です。

最初に総当たりするのは危険すぎます。

 

入試問題は学校からのメッセージ

この問題、解けて欲しい問題ですが、解けなくても他の問題をしっかり解けば合格することはできます。

ただこの問題で時間を浪費していしまうと、解けたとしても多分不合格になります。

 一つの小問の処理の仕方でその問題だけでなく算数の試験全体、

ひいては受験全体の合否を分けることにもなってしまいます。

 

しょっぱなのこの問題は2つのことをことを聞いています

1)数の性質を使い短時間で解ききれるか

2)総当たりの方法を回避し、わからないなら飛ばして次の問題に移ることができるか

この問題はそういう問題です。

学校側は1)でスッキリ解いてくれる人、もしくは2)の戦法を取れる人を求めている

というメッセージとも読むこともできます。

「できる問題から解く、わからなければ一旦飛ばす」

入試の基本の基本で、今まで何度も聞いたことがあることだと思いますが、

案外できずに本来解ける問題に時間がかけられず点数を伸ばせないというケースは本当に多いものです。

入試問題は学校側のメッセージというのは、

算数・理科の思考力を問う難問や、国語の記述問題など目を引く特徴的な問題だけではありません。

この問題も地味ながら学校からのメッセージなのかなと考えます。

過去問をやるときは

過去問をやるときは、問題一つ一つだけでなく全体として点数を取ることを考える必要があります。この問題のように、一見簡単だがハマるとんでもなく時間がかかる問題というのも本当に注意が必要です。少なくとも「こういう問題を出すことがある」というのが頭の隅にあるのとないのでは結果もかなり違ってきます。

過去問をやるときはそのようなことも意識して行うと違った側面が見えてくるはずです。

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