12月23日学校法人本学園(世田谷区)が、明治大学の系列校となり2026年より「明治大学付属世田谷中学高等学校」となる基本合意書を締結したと発表した。これについて深堀します。
日本学園が「明大付属世田谷」へ
まず校名変更、共学化は2026年からとなりますので注意してください。
基本合意書の内容
学校法人日本学園と系列校化に向けた基本合意書を締結 | 明治大学
(1)2026年4月1日から日本学園中学校・高等学校を明治大学の系列校とする。
(2)学校名を明治大学付属世田谷中学校・高等学校とする。
(3)系列校化と同時に男女共学校とする。
(4)明治大学への付属高等学校推薦入学試験による入学者の受け入れは2029年度からとする。
経緯
日本学園中学校・高等学校は1885年に東京英語学校として創立され、内閣総理大臣を務めた吉田茂氏をはじめ数々の著名人を輩出している伝統校です。教育方針として、「天才を創るよりも各人の天分を活かすこと」を掲げ、個性を尊重し人格教育に重きを置いています。これは、「『個』を強くする」を教育理念に掲げる本学と考え方が重なります。さらに本学とは10年ほど前から地域連携事業を通じて関係を築いており、系列校化することで一貫した高大連携教育を行い、早期から本学の教育理念に基づく教育を受けた多くの生徒を受け入れるため、学校法人日本学園との連携推進協議会を設置し、系列校化に向けて必要な事項について協議を行ってきました。
今後は、基本合意書に基づき、学校法人日本学園との系列校合同協議会を設置し、より詳細な内容を含む系列校協定書の締結に向けた協議を進めます。
また、既存の付属校とは異なる教育特色を打ち出すための方策や教員の教育力向上策、推薦制度の詳細、法人連携策など、2026年度の系列校開設に向けたより詳細な内容について継続的に協議を行っていきます。
なんか、わかったようなわからないような…
どうして系列化、付属化するの??
実は近年大学の系列化・付属化している学校が実は多い!
横浜山手女子中学校・高等学校→中央大学附属横浜中学校・高等学校(2013)
横浜英和女学院中学校・高等学校→青山学院横浜英和中学校・高等学校(2016)
浦和ルーテル学院中学校・高等学校→青山学院浦和ルーテル学院中学校・高等学校(2019)
日本学園中学校・高等学校→明治大学付属世田谷中学校・高等学校(2026)
なぜ大学の系列化・付属化する学校が増えているのか?
中高と大学のメリットが一致しているためです、簡単にいうと少子化の流れの中、生徒を確保するためです。
大学のメリット:系列校、付属校があることで安定的に学生を確保することができる、また、一般入試での合格者数を相対的に減らすことで難易度、ブランドイメージを保つことができる。
中高のメリット:系列校、付属校となることで内部進学が可能になり人気化する、受験者数が増えて学校経営が安定する。学校のブランドイメージがあがる。
明治大学はMARCHの中でも付属校を増やしたい!
明治大学の付属校、系列校は明治大学付属明治、明治大学付属中野、明治大学付属中野八王子と3校ですが、明治大学の学生規模の割に付属校、系列校が少ない数になっています。その結果、推薦入学やAO入試ではない一般入試を経て入学してくる学生の割合が高くなっています。
私立大学一般入学者割合(2019)
— 暇な大学職員@2021年71名・累計255名が転職済 (@univadm) 2021年2月4日
関学さん、指定校撒きすぎ説
明治大学 69.9%
東京理科大学 68.5%
立命館大学 60.9%
青山学院大学 59.7%
法政大学 58.5%
慶應義塾大学 56.3%
早稲田大学 55.8%
中央大学 55.5%
同志社大学 51.8%
関西大学 51.1%
学習院大学 46.2%
上智大学 44.5%
関西学院大学 36.6%
明治大学は特に一般入試で入学してくる生徒が約70%と高くなっており、大学の経営を安定させるためには付属校からの内部進学を増やしたいという意向があったものと思われます。
学生数ランキング (2020年5月)
1位:日本大学(66,540)
2位:早稲田大学(38,642)
3位:近畿大学(33,234)
4位:立命館大学(32,243)
5位:東洋大学(30,592)
6位:明治大学(30,399)
7位:慶應義塾大学(28,733)
8位:東海大学(28,504)
9位:関西大学(28,369)
10位:法政大学(27,605)
日本学園中学高等学校は定員割れ、生徒数を確保したい!
日本学園中学高等学校は歴史ある伝統校ですが、最近の入試結果、生徒数を見る限りでは生徒数の確保に苦労している学校と言わざるを得ません。実際、明治大学の系列化でこの学校を初めて知ったという人がほとんどなのではないでしょうか?
中学校
中1~中3で全生徒55名。募集数120名に対して入学者は17~19名という状態、偏差値も四谷大塚では偏差値が掲載されておらず、偏差値が高くでる首都圏模試でも40程度と
難易度的には高くない学校となっていました。
高校
高校は特別進学コース、総合進学コース、スポーツコースの3コースからなっています。定員は1学年256名に対して、在籍者数は3学年で456名、1学年あたり152名となり定員割れの状態です。
日本学園高等学校(東京都)の進学情報 | 高校選びならJS日本の学校
日本学園中高の明大系列化で偏差値爆上げは必至
日本学園中高の2021年MARCH合格者数は
明治大学 12名
青山学院 3名
立教大学 4名
法政大学 5名
といったところです。日本学園中高の明治大学系列化で明治大学への内部進学枠が確保され偏差値が上がることは必至でしょう。
日本学園中高と明治大学には10年来の付き合いがある
日本学園中高は最寄り駅が『明大前駅』から徒歩5分と明大の和泉キャンパスに近接していることが縁となって、高大連携事業をこの10年行ってきました。両校の相思相愛といったところでしょうか。
2012年の記事 明治大学「日本学園高校と協定を締結」
明治大学は3月16日、日本学園高等学校(東京都世田谷区)と高大連携事業に関する協定を締結した。
この協定は、日本学園が『明大前駅』(京王線)から徒歩5分と、和泉キャンパスに近接している点を活かし、相互の理解を深めるとともに、両校による地域への貢献を目的とするもの。
調印式は駿河台キャンパス大学会館7階の会議室で行われ、高大連携事業に関する協定書に、納谷廣美学長と谷川平夫校長(日本学園高等学校)がそれぞれ署名し、協定を取り交わした。
先立つ懇談で納谷学長は、「歴史ある日本学園との協定をうれしく思う。小さな一歩だが、大きな一歩、大切に育てていく」と述べた。返答で谷川校長は、同学園の特別進学コースのキャッチフレーズ『MARCH以上の難関私立大学の現役合格を目指す』に触れ、「すでに明治の『M』は別格となっている」とした上で、「この連携により、さらに日本の中核をなす人材教育に邁進する」と力強く応えた。
2026年から共学化、大学の受け入れは2029年から
この系列化、結局のところ受験生にとっては明治大学への内部進学できるというのが最大のメリットなのです。これはどの学年から享受できるのでしょうか?
大学入学 2029年から明治大学への内部進学可能、
つまり2026年に共学化+学校名が変更になったときに高校入学すれば明治大学への内部進学の可能性がありそうです。
中学入学でいえば2023年に日本学園中学(ただし男子校)に入学すれば、高校に上がる2026年には明治大学付属世田谷に持ち上がりで入学し2029年の推薦入試には間に合う計算になります。2023年に入学するときは男子校なので女子の場合は入れないということですね。このあたりのことは学校説明会でしっかり確認し最新の情報を入手したほうがよさそうです。
日本学園は付属校・系属校としては申し分なし
現時点での偏差値、難易度こそ低いものの歴史がある学校で立地も明大前徒歩5分と最高の立地。立地だけでなく高大なグラウンドもあり人気化することは確実な状態です。
本気で目指す場合には内部進学の枠に気を付けること
系列化、付属化で注意するのはその学年で推薦枠がどのぐらいあるかということ。
2026年に校名変更をし、その時の入学者が2029年に明治大学に内部進学するときに何割、明大への枠があるかという話です。
実績を積むにしたがって枠が増える傾向がありますので、最初は3割ぐらいだそうです。枠の情報も今後学校説明会で聞くことができるかと思います。
現時点では何も情報もないのでなんとも言えないですね。2026年に校名変更されてからいろいろなことがわかってくるでしょう。ただ明治大学に内部進学するためには一定以上の成績は必要になると思います。